手彫り印鑑の作業工程
-
1.印稿作製
職種や使用目的にふさわしい書体及び、字体を選び、推敲(ずいこう)を重ねる。
(印影の下書きのようなものです) -
2.印面修正
印材をよく点検し、印面に朱を塗り慎重に修正(面すり等)を行う。
-
3.布字(字入れ)
印稿の特徴をよく生かし、印面に墨で逆に書く。※印鑑を押した時に正しくなるように指定の書体で文字をバランスよく、正しく逆に書くというのは職人の技です。 ですので、手書きで1つ1つ書いていくので、同じものは二度と書くことはできません。 逆に、機械彫りや手仕事の場合は、パソコンなどに入っている専用のフォントソフトを使用して書くやり方が一般的です。
それでは、同じ書体で同じ名前の人と同じものが出来上がり、印鑑の模倣されにくさを失います。 -
4.荒彫(あらぼり)
字のごとく荒く全体像を彫っていきます。
深さに浅深のばらつきがない様に、均一に深く掘ります。
この時に、手彫りのよさがまず出ます。
機械彫りの場合はどうしても印鑑のフチの枠(丸い枠)の断面が細くもろくなってしまいます。
手彫りの場合はフチが欠けにくいように土手を作り、しっかりと深さと安定感のある土台を彫り、枠自体は細く美しくぶれがなく美しい円を作ることができます。 またそれぞれの印材の特徴にあわせてその印材のベストな彫り方や深さで調節していけるのも手彫りのよさの1つです。
荒彫りの技は長年積み重ねた技術と経験、匠の技によってさらに格調高く、美しい印鑑への下準備になります。 -
5.仕上げ
一点、一画文字の筆意を生かして慎重に一刀一刀仕上げ刀をいれていきます。
この作業はもっとも手彫りの技術の中でも高度な技術を 求められます。
なぜなら、書体や文字、印鑑のことを熟知した経験と知識がなければ仕上げをすることはできないからです。 もちろん、この時に最終的なバランスや線の美しさや深さを調整していきます。
この仕上げがうまいかどうかは、捺印の美しさが格段に変わってきます。
まさに、手彫りのよさ、匠の技、熟練の技術と経験が発揮される瞬間でもあります。 -
6.捺印(なついん)
印肉および紙をよく吟味し、印肉を軽く叩くようにして印面にむらなく付け、慎重に押捺してできあがりです。
お客様に渡す前に確認し、当店の保証書などに捺印しお渡しいたします。
またお客様も、印鑑を捺印する際に少しいつもよりいい朱肉を使用する等捺印する時に少し気を使って頂くとより一層印鑑の持ち味が発揮されます。